いい匂い自然・環境
沈丁花
Daphne (Jinchoge)
香りの強さ:強いにおい
臭気の客観指標
臭気強度(6段階臭気強度表示法)
4 / 5
強いにおい
根拠: 環境省 6段階臭気強度表示法(悪臭防止法)
基準: 悪臭防止法 6段階臭気強度表示法(環境省)
嗅覚閾値(検知閾値)
0.0006 ppm
代表成分: Linalool
出典: van Gemert, Odour Thresholds, 2011
※ 臭気強度は環境省「6段階臭気強度表示法」に準拠した感覚的評価値です。嗅覚閾値はヒトが検知できる最低濃度で、値が小さいほど少量で匂いを感じます。
香りの説明
早春の2-3月に開花し、遠くまで甘い芳香を漂わせるジンチョウゲ科の常緑低木。リナロールとシトロネロールの甘くフローラルな香りが春の訪れを告げ、金木犀・梔子と並ぶ日本三大芳香花の一つに数えられる。
主な化学物質
リナロールシトロネロールゲラニオール酢酸リナリルβ-ダマセノン
暮らしとの関わり
- 春の訪れを告げる香り
- 遠くまで届く芳香
- 日本三大芳香花の一つ
- 俳句に詠まれた季節の花
エビデンス
2000Flavour and Fragrance Journal (Toyota et al.)
沈丁花(Daphne odora)の花の揮発性成分をGC-MSで分析し、リナロール、シトロネロール、ゲラニオールが主要成分であることを報告。開花ステージによる香気プロファイルの変化を追跡。
1998Journal of Essential Oil Research (Joulain)
ジンチョウゲ科植物の精油成分を比較レビューし、Daphne odoraのリナロール含有率が同科の他種と比べて突出して高いことを報告。その香りの到達距離の長さをリナロールの高い蒸気圧で説明。
トリビア
- 沈丁花は「沈香」と「丁子(クローブ)」の匂いを合わせた香りということからその名がつけられた。沈香のウッディノートとクローブのスパイシーさをフローラルな香りに統合した東洋的な名前の由来である。
- 沈丁花の香りの到達距離は風下で約100mに達し、庭木の中でも最も「遠くまで香る」花の一つである。これはリナロールの揮発性が高く(蒸気圧21.4 Pa at 25℃)空気中を効率よく拡散するためである。
- 沈丁花は中国原産で室町時代に日本に渡来したとされる。万葉集には登場しないが、江戸時代の俳句には多く詠まれている。日本で栽培されている沈丁花はほぼ全て挿し木繁殖のクローンで、遺伝的多様性が極めて低い。

編集部の解説
沈丁花は、早春の庭や道ばたで、甘くフローラルな香りを遠くまで漂わせる常緑低木です。2〜3月に花を咲かせ、姿を見つける前に香りで気づくこともあります。金木犀、梔子と並ぶ日本三大芳香花の一つに数えられ、春の訪れを印象づける花として親しまれています。
香りの中心を担う成分は、甘く花らしい印象をもつリナロールとシトロネロールです。ゲラニオール、酢酸リナリル、β-ダマセノンも加わり、フローラルで甘く、存在感のある香調を形づくります。リナロールは揮発しやすく、風に乗って空気中へ広がるため、沈丁花は風下で約100m先まで香りが届くことがあります。
沈丁花は中国原産で、室町時代に日本へ渡来したとされます。万葉集には登場しませんが、江戸時代の俳句には多く詠まれました。名前は、沈香のウッディな趣きと丁子(クローブ)のスパイシーさを合わせた香りに由来するとされ、実際の花の華やかな香りに東洋的な名前が重なっています。
楽しむときは、花の姿だけでなく、風向きや距離によって香りの濃さが変わることにも注目してみましょう。近づきすぎず、通りすがりや風下でふと立ち上がる香りを味わうのがコツです。強く感じるときは、窓を開けるなどして空気の流れを調整すると、季節の香りを心地よく受け取れます。