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いい匂い食べ物・飲み物

ぬか漬け

Nukazuke (Rice Bran Pickles)

香りの強さ:楽に感知できるにおい

臭気の客観指標

臭気強度(6段階臭気強度表示法)
3 / 5
楽に感知できるにおい
根拠: 環境省 6段階臭気強度表示法(悪臭防止法)
基準: 悪臭防止法 6段階臭気強度表示法(環境省)
嗅覚閾値(検知閾値)
0.0001 ppm
代表成分: Diacetyl
出典: van Gemert, Odour Thresholds, 2011

※ 臭気強度は環境省「6段階臭気強度表示法」に準拠した感覚的評価値です。嗅覚閾値はヒトが検知できる最低濃度で、値が小さいほど少量で匂いを感じます。

香りの説明

米ぬかを乳酸発酵させたぬか床から漂う、酸味を帯びた複雑な発酵香。乳酸菌と酵母の共生発酵で生じる有機酸・エステル類・ジアセチルが、漬けた野菜に深い旨味と独特の芳香を与える。

編集部の解説

ぬか漬けの香りは、酸味を帯びた発酵香を中心に、野菜やぬか床の複雑さが重なって感じられます。少し酸っぱい印象の奥に、フルーティーな甘さ、バターを思わせるまろやかさ、熟成したぬか床らしい深みがあり、台所で出会うと独特の存在感を放ちます。

この香りは、米ぬかを乳酸発酵させるぬか床で生まれます。乳酸菌と酵母が共生して発酵することで、乳酸や酢酸エチルなどの有機酸・エステル類、ジアセチルが生じ、漬けた野菜に芳香と深い旨味を与えます。酪酸や2-メチルプロパノールも、ぬか床の香りを形づくる成分です。

ぬか漬けは、日本の家庭の台所や漬物店で親しまれてきた発酵食品です。京都の老舗漬物店には、100年以上継ぎ足されたぬか床もあります。ぬか床では、Lactobacillus属の乳酸菌、Saccharomyces属の酵母、酪酸菌が働き、微生物の組み合わせが香りの複雑さをつくります。

香りを楽しむには、漬けた野菜を口にする前に、まず酸味と発酵香の重なりを確かめるとよいでしょう。ぬか床は毎日かき混ぜ、表面の産膜酵母と底部の酪酸菌のバランスを整えます。かき混ぜない状態が続くと、酪酸菌が優勢になり、足の匂いのような不快臭につながります。

主な化学物質

ジアセチル酢酸エチル乳酸酪酸2-メチルプロパノール

暮らしとの関わり

  • 酸味を帯びた複雑な発酵香
  • 日本の家庭の記憶を思わせる
  • 発酵食品文化につながる香り
  • 野菜の旨味を引き立てる風味
  • 漬物店に受け継がれる香り

エビデンス

2010Journal of Bioscience and Bioengineering (Tanizawa et al.)

ぬか床の微生物叢を16S rRNA遺伝子解析で同定し、Lactobacillus属、Saccharomyces属の共生発酵が香気プロファイルを形成することを報告。長期使用のぬか床ほど微生物多様性が高いことを確認。

2014Food Science and Technology Research (Kuda et al.)

ぬか漬けの揮発性成分を発酵条件別に分析し、酢酸エチル(フルーティ香)とジアセチル(バター香)の比率が「良いぬか床」の品質指標となることを報告。酪酸の過剰生成が不快臭の原因であることを確認。

トリビア

  • ぬか床の複雑な香りは乳酸菌(Lactobacillus属)、酵母(Saccharomyces属)、酪酸菌が産生するVOCの複合で形成される。良いぬか床はこれら微生物のバランスが取れており、フルーティな酢酸エチルとバター様のジアセチルが優勢である。
  • ぬか床を「毎日かき混ぜる」のは、表面の好気性菌(産膜酵母)と底部の嫌気性菌(酪酸菌)のバランスを調整するためである。かき混ぜないと酪酸菌が優勢になり「足の匂い」のような不快臭が発生する。
  • 京都の老舗漬物店には100年以上継ぎ足されたぬか床があり、微生物叢の多様性が新しいぬか床の数倍に達することが16S rRNA遺伝子解析で確認されている。長年のぬか床ほど複雑で深みのある香りを持つ。