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いい匂い食べ物・飲み物

わさび

Wasabi

香りの強さ:強いにおい

臭気の客観指標

臭気強度(6段階臭気強度表示法)
4 / 5
強いにおい
根拠: 環境省 6段階臭気強度表示法(悪臭防止法)
基準: 悪臭防止法 6段階臭気強度表示法(環境省)
嗅覚閾値(検知閾値)
0.0043 ppm
代表成分: Allyl isothiocyanate
出典: van Gemert, Odour Thresholds, 2011; Nagata Y. (2003) Measurement of odor threshold by triangle odor bag method, Odor Measurement Review, pp.118-127

※ 臭気強度は環境省「6段階臭気強度表示法」に準拠した感覚的評価値です。嗅覚閾値はヒトが検知できる最低濃度で、値が小さいほど少量で匂いを感じます。

香りの説明

アブラナ科ワサビの根茎をすりおろした瞬間に立ち昇る、鼻腔を突き抜ける鮮烈な辛味香。アリルイソチオシアネートが三叉神経のTRPA1受容体を強烈に刺激し、涙と鼻水を誘発する日本料理の名脇役。

編集部の解説

わさびは、根茎をすりおろした瞬間に立ち昇る、鼻腔を突き抜けるような鮮烈な辛味香です。ツンとした刺激の奥に爽やかさがあり、口の中に残る辛さというより、鼻へ抜けていく揮発性の辛さとして感じられます。台所で立ち上る強烈な香りは、日本料理の名脇役として親しまれてきました。

香りの中心を担うのは、アリルイソチオシアネート(AITC)です。すりおろすことで、わさびに含まれるシニグリンがミロシナーゼ酵素によって加水分解され、AITCが生じます。AITCは三叉神経のTRPA1受容体を刺激し、鼻を抜ける独特の感覚を生みます。ほかにも、6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネート、sec-ブチルイソチオシアネート、β-フェニルエチルイソチオシアネート、リモネンが香りを構成します。

わさびは、すりおろし器を使う台所の場面や、日本料理の薬味として出会う香りです。静岡県の有東木地区では約400年前から栽培が行われ、清涼な湧水と年間平均気温12〜15℃の環境が本わさびを育ててきました。本わさびと西洋わさびでは、AITCの含有量にも違いがあります。

香りを楽しむなら、すりたての立ち上がりに注目するのがコツです。AITCはすりおろし後3〜5分で最大濃度に達し、15分以降は揮発と自己分解で急速に減少します。香りの移ろいも味わいながら、少量ずつ料理に添えると、わさびの鮮烈さと爽やかさを捉えやすくなります。

主な化学物質

アリルイソチオシアネート (AITC)6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネートsec-ブチルイソチオシアネートβ-フェニルエチルイソチオシアネートリモネン

暮らしとの関わり

  • 鼻を抜ける鮮烈な香り
  • すりたてを味わう習慣
  • 日本料理の名脇役
  • 台所で出会う刺激香

エビデンス

1999Food Research International (Depree, Howard & Savage)

わさびの揮発性硫黄化合物のフレーバーおよび薬理学的特性を分析し、アリルイソチオシアネート(AITC)が主要な辛味・香気成分であることを確認。すりおろし後のAITC濃度の経時変化を報告。

2011Ig Nobel Prize Committee / Fire Safety Journal

わさびの香り(AITC)を利用した聴覚障害者向け火災警報器の開発が2011年イグノーベル化学賞を受賞。AITCの三叉神経刺激が睡眠中でも覚醒を促すことを実証。

トリビア

  • わさびの辛味成分AITCはすりおろす際にシニグリンがミロシナーゼ酵素で加水分解されて生じる。すりおろし後3-5分で最大濃度に達し、15分以降は揮発と自己分解で急速に減少するため「すりたて」が最も香りが良い。
  • 本わさびの辛さは口腔内ではなく鼻腔を刺激する「揮発性の辛さ」で、唐辛子のカプサイシン(TRPV1受容体)とは異なりTRPA1受容体を活性化する。この性質を利用し、わさびの香りを火災警報器に応用した研究がイグノーベル賞を受賞した(2011年)。
  • 静岡県の有東木(うとうぎ)地区は約400年前からわさび栽培が行われている発祥の地で、清涼な湧水と年間平均気温12-15℃の環境が本わさびの栽培に適している。本わさびと西洋わさび(ホースラディッシュ)ではAITCの含有量が約2倍異なる。