本文へスキップ
いい匂い食べ物・飲み物

山椒

Japanese Pepper (Sansho)

香りの強さ:楽に感知できるにおい

臭気の客観指標

臭気強度(6段階臭気強度表示法)
3 / 5
楽に感知できるにおい
根拠: 環境省 6段階臭気強度表示法(悪臭防止法)
基準: 悪臭防止法 6段階臭気強度表示法(環境省)
嗅覚閾値(検知閾値)
0.003 ppm
代表成分: Citronellal
出典: van Gemert, Odour Thresholds, 2011

※ 臭気強度は環境省「6段階臭気強度表示法」に準拠した感覚的評価値です。嗅覚閾値はヒトが検知できる最低濃度で、値が小さいほど少量で匂いを感じます。

香りの説明

ミカン科サンショウの果皮が放つ、柑橘様の爽やかさとピリッとした痺れを伴う芳香。シトロネラールやリモネンの柑橘系テルペン類が清涼感あるトップノートを形成し、うなぎの蒲焼きや麻婆豆腐に欠かせない和の香辛料。

編集部の解説

山椒は、ミカン科サンショウの果皮が放つ、柑橘様の爽やかさと、ピリッとした痺れを伴う芳香です。香りの印象はスパイシーで刺激的。清涼感のある明るさと、舌や口内に残る独特の感覚が重なり、一般的な辛さとは異なる個性を感じさせます。

香りの中心では、シトロネラールやリモネンなどの柑橘系テルペン類が、清涼感のあるトップノートを形づくります。ゲラニオールやβ-フェランドレンも成分として含まれ、山椒らしい香気を構成します。一方、ヒドロキシ-α-サンショオールは三叉神経のTRPA1受容体を活性化し、味覚や嗅覚とは異なる、触覚的な「痺れ」を生みます。

暮らしの中では、山椒はうなぎの蒲焼きや麻婆豆腐に欠かせない和の香辛料として出会います。日本の山椒と四川花椒は同属の近縁種ですが、香気の傾向は異なります。日本の山椒はシトロネラールが優勢で柑橘的、花椒はリナロールが優勢でフローラルな傾向です。

香りを楽しむときは、実山椒と粉山椒の違いに注目するとよいでしょう。6月頃に収穫される未熟果の実山椒は、果皮が柔らかく、シトロネラールによる爽やかなシトラス香が強めです。完熟果の乾燥粉末である粉山椒とは香気プロファイルが異なるため、料理に使い分けながら、柑橘香と痺れの重なりを比べてみてください。

主な化学物質

シトロネラールリモネンゲラニオールヒドロキシ-α-サンショオールβ-フェランドレン

暮らしとの関わり

  • 柑橘様の爽やかな香り
  • うなぎに欠かせない香辛料
  • 麻婆豆腐を彩る刺激
  • 和食文化につながる香り
  • 実山椒と粉山椒の違い

エビデンス

2007European Journal of Neuroscience (Koo et al.)

山椒の痺れ成分ヒドロキシ-α-サンショオールがTRPV1およびTRPA1受容体を活性化して「痺れ」感覚を引き起こすメカニズムを解明。感覚ニューロンにおける独特の刺激様式を実証。

2004Food Chemistry (Jiang & Kubota)

日本の山椒(Z. piperitum)と四川花椒(Z. bungeanum)の精油成分を比較分析。山椒はシトロネラールが主成分(約30%)、花椒はリナロールが主成分(約25%)であることを報告。

トリビア

  • 山椒の「痺れ」はヒドロキシ-α-サンショオールが三叉神経のTRPA1受容体を活性化して引き起こす触覚的感覚で、味覚でも嗅覚でもない「第三の化学感覚」である。四川料理の「麻」も同じ成分による。
  • 日本の山椒(Zanthoxylum piperitum)と四川花椒(Z. bungeanum)は同属の近縁種だが、香気プロファイルが異なり、日本の山椒はシトロネラールが優勢で柑橘的、花椒はリナロールが優勢でフローラルな傾向がある。
  • ちりめん山椒に使う「実山椒」は6月頃に収穫される未熟果で、果皮が柔らかくシトロネラール含有量が高い。完熟果の乾燥粉末(粉山椒)とは香気プロファイルが異なり、実山椒のほうが爽やかなシトラス香が強い。