いい匂い食べ物・飲み物
八角(スターアニス)
Star Anise
香りの強さ:強いにおい
臭気の客観指標
臭気強度(6段階臭気強度表示法)
4 / 5
強いにおい
根拠: 環境省 6段階臭気強度表示法(悪臭防止法)
基準: 悪臭防止法 6段階臭気強度表示法(環境省)
嗅覚閾値(検知閾値)
0.005 ppm
代表成分: trans-Anethole
出典: van Gemert, Odour Thresholds, 2011; Nagata Y. (2003) Measurement of odor threshold by triangle odor bag method, Odor Measurement Review, pp.118-127
※ 臭気強度は環境省「6段階臭気強度表示法」に準拠した感覚的評価値です。嗅覚閾値はヒトが検知できる最低濃度で、値が小さいほど少量で匂いを感じます。
香りの説明
シキミ科トウシキミの星形の果実が放つ、甘く華やかなアニス様の芳香。精油の85-90%を占めるトランス-アネトールが強烈な甘草のような甘い香りを発し、中華料理の五香粉やフォーに不可欠なスパイス。
主な化学物質
トランス-アネトールリモネンリナロールα-ピネンエストラゴール
暮らしとの関わり
- 甘草を思わせる強い甘さ
- 中華料理を象徴する香り
- 異国的な食卓を演出
- アニス酒にも使われる
- 温かいスパイス感
エビデンス
2011Journal of Agricultural and Food Chemistry (Wang et al.)
八角(Illicium verum)の精油成分をGC-MSで分析し、トランス-アネトールが85-90%を占めることを確認。有毒近縁種シキミ(I. anisatum)との化学的識別法を提案。
2006Nature (Enserink)
八角からのシキミ酸抽出がタミフル(オセルタミビル)製造の律速段階であることを報告。鳥インフルエンザ流行時の世界的な八角需要の急増と供給問題を解説。
トリビア
- 八角の主成分トランス-アネトールはアニスやフェンネルと共通する「甘草の香り」の正体で、砂糖の13倍の甘味を持つ。フランスのパスティスやトルコのラクなどアニス酒の香料としても世界中で使われている。
- 八角はインフルエンザ治療薬タミフル(オセルタミビル)の原料シキミ酸の主要な天然供給源で、2005年の鳥インフルエンザ流行時には八角の価格が10倍に高騰した。現在は大腸菌発酵法による合成が主流。
- 八角と日本のシキミ(Illicium anisatum)は同属の近縁種だが、シキミにはアニサチンという神経毒が含まれ有毒である。外見が酷似するため誤食事故が報告されており、シキミは「毒の実」として植物界唯一の劇物指定を受けている。

編集部の解説
八角は、星形の果実から立ちのぼる、甘く華やかなアニス様の香りが特徴です。甘草を思わせる甘さに、スパイシーさと温かさ、異国的な雰囲気が重なり、香り立ちはかなり強烈。乾燥した果実を近づけるだけでも、台所を印象づける存在感があります。
この香りの中心にあるのが、精油の85〜90%を占めるトランス-アネトールです。トランス-アネトールが強い甘草様の甘い香りを生み、リモネン、リナロール、α-ピネン、エストラゴールが香調に重なります。複数の成分が合わさることで、単なる甘さではなく、華やかさやスパイスらしい奥行きとして感じられます。
暮らしでは、中華料理の五香粉やフォーに欠かせないスパイスとして知られています。フランスのパスティスやトルコのラクなど、アニス酒の香料としても世界各地で使われてきました。2005年の鳥インフルエンザ流行時には需要の影響で八角の価格が10倍に高騰したという記録もあり、食文化だけでなく社会の動きとも結びついた香辛料です。
使うときは、まず少量で香りの強さを確かめ、料理全体の香辛料の調和を見ながら加えるのがコツです。煮込みやスープでは、星形の果実をそのまま加えて香りを移し、仕上げ前に取り出す使い方が向きます。日本のシキミは外見がよく似ていますが、八角とは別のもの。食用には、八角として表示された製品を選びましょう。