いい匂い食べ物・飲み物
クローブ
Clove
香りの強さ:強いにおい
臭気の客観指標
臭気強度(6段階臭気強度表示法)
4 / 5
強いにおい
根拠: 環境省 6段階臭気強度表示法(悪臭防止法)
基準: 悪臭防止法 6段階臭気強度表示法(環境省)
嗅覚閾値(検知閾値)
0.003 ppm
代表成分: Eugenol
出典: van Gemert, Odour Thresholds, 2011
※ 臭気強度は環境省「6段階臭気強度表示法」に準拠した感覚的評価値です。嗅覚閾値はヒトが検知できる最低濃度で、値が小さいほど少量で匂いを感じます。
香りの説明
フトモモ科チョウジノキの花蕾を乾燥させたスパイスが放つ、甘く刺激的でやや薬品的な芳香。精油の80-90%を占めるオイゲノールが独特のスパイシーかつ歯科的な香りを形成し、チャイやポトフに深みを与える。
主な化学物質
オイゲノール酢酸オイゲノールβ-カリオフィレンα-フムレンメチルオイゲノール
暮らしとの関わり
- 甘く刺激的なスパイスの香り
- チャイや煮込み料理に深み
- 秋冬の台所を思わせる香り
- 異国情緒を演出する香辛料
エビデンス
2007Journal of Agricultural and Food Chemistry (Chaieb et al.)
クローブ精油の化学組成を分析し、オイゲノールが80-90%を占めることを確認。抗菌・抗酸化活性とオイゲノール濃度の正の相関を報告。
1992Journal of Dentistry (Markowitz et al.)
オイゲノールの歯髄における局所麻酔作用のメカニズムを解明。バニロイド受容体(後にTRPV1と命名)への作用を介した神経伝達の抑制を報告。歯科用鎮痛剤としての薬理学的根拠を提示。
トリビア
- クローブ精油の主成分オイゲノールは歯科用鎮痛剤として古くから使われており、歯医者の匂いの一因でもある。オイゲノールには局所麻酔作用があり、歯痛時にクローブを噛む民間療法は薬理学的根拠がある。
- クローブの名前はフランス語のclou(釘)に由来し、乾燥した花蕾の形が釘に似ていることから名付けられた。インドネシアではクレテックと呼ばれるクローブ入りタバコが国民的嗜好品で、燃焼時にパチパチと音がする。
- クローブはスパイスの中でもORAC値(抗酸化力の指標)が最も高く、オイゲノールのフェノール性水酸基がフリーラジカルを捕捉する。乾燥クローブ100gあたりのORAC値は約290,000μmol TEで、全食品中トップクラスである。

編集部の解説
クローブは、甘さを含みながら鼻先を鋭く刺激する、スパイシーでやや薬品的なにおいです。温かく強烈な印象の奥に、異国の市場や台所を思わせるようなエキゾチックさがあります。乾燥した花蕾の形が釘に似ていることから、フランス語のclou(釘)に由来する名で呼ばれています。
この香りの中心をつくるのは、精油の80〜90%を占めるオイゲノールです。オイゲノールが独特のスパイシーさと歯科を連想させる香りを生み、酢酸オイゲノール、β-カリオフィレン、α-フムレン、メチルオイゲノールなどが香調に重なります。ひと粒でも存在感が出やすく、甘さと刺激が同時に立ち上がるのが特徴です。
暮らしでは、チャイやポトフに加えたとき、飲み物や煮込み料理に深みを与える香りとして出会います。秋冬の台所に漂う温かな雰囲気とも相性がよく、インドネシアではクローブ入りのクレテックと呼ばれるたばこが文化の一部になっています。燃焼時にパチパチと音がすることも知られています。
扱うときは、まず少量から香りの強さを確かめるのがコツです。料理では単独で前面に出すより、甘みや煮込みの香りに重ねると印象を調整しやすくなります。香りを楽しむなら、乾燥した花蕾をそのまま観察し、釘に似た形と濃厚な芳香を一緒に味わうのもよいでしょう。