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いい匂い食べ物・飲み物

梅干し

Umeboshi (Pickled Plum)

香りの強さ:楽に感知できるにおい

臭気の客観指標

臭気強度(6段階臭気強度表示法)
3 / 5
楽に感知できるにおい
根拠: 環境省 6段階臭気強度表示法(悪臭防止法)
基準: 悪臭防止法 6段階臭気強度表示法(環境省)
嗅覚閾値(検知閾値)
0.35 ppm
代表成分: Benzaldehyde
出典: Nagata Y. (2003) Measurement of odor threshold by triangle odor bag method, Odor Measurement Review, pp.118-127

※ 臭気強度は環境省「6段階臭気強度表示法」に準拠した感覚的評価値です。嗅覚閾値はヒトが検知できる最低濃度で、値が小さいほど少量で匂いを感じます。

香りの説明

梅と塩と赤紫蘇で漬け込んだ日本の伝統保存食から漂う、鮮烈な酸味と赤紫蘇のハーバルな芳香。クエン酸の刺激的な酸っぱさとベンズアルデヒドの杏仁様の甘い香りが混じり合った唾液腺を刺激する芳香。

編集部の解説

梅干しから立ちのぼるのは、まず鼻を引き締めるような鮮烈な酸っぱさです。そこに赤紫蘇のハーバルな芳香、梅を思わせる杏仁様の甘い香りが重なり、鋭さの中にも奥行きのある印象をつくります。香りの強さは中程度で、台所や食卓でふと気づく存在感があります。

酸味の中心に関わるのがクエン酸です。クエン酸は揮発性が低い成分ですが、梅干しの酸臭に寄与します。ベンズアルデヒドは杏仁様の甘い香りを担い、酢酸エチルやリナロールも香りの層を形づくります。赤紫蘇由来のペリルアルデヒドが加わることで、赤紫蘇漬けならではのハーバルな印象が生まれます。

梅干しは、梅と塩と赤紫蘇で漬け込む日本の伝統保存食です。赤紫蘇のアントシアニンであるシソニンは、梅のクエン酸によって赤く変色します。紫蘇を使わない白干し梅と赤紫蘇漬けでは香りのプロファイルが異なり、梅の品種でも印象は変わります。紀州南高梅は、ベンズアルデヒドの含有量が他品種より高いことが確認されています。

楽しむときは、赤紫蘇の香りと梅の酸味を分けて意識すると、香りの重なりが見つけやすくなります。白干し梅と赤紫蘇漬けを並べて比べれば、ペリルアルデヒドの有無による違いも感じ取れます。ご飯のそばや保存食の棚など、日常の場面で少量ずつ香りを確かめるのもよいでしょう。

主な化学物質

ベンズアルデヒド酢酸エチルリナロールペリルアルデヒド(紫蘇由来)クエン酸(揮発性は低いが酸臭に寄与)

暮らしとの関わり

  • 鮮烈な酸味の印象
  • 赤紫蘇の香りが重なる
  • 日本の伝統保存食
  • 白干し梅と香りが異なる

エビデンス

2004Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (宇都宮ら)

梅干しの揮発性成分を品種・産地別にGC-MSで分析し、南高梅はベンズアルデヒドの含有量が他品種の約2倍であることを報告。赤紫蘇漬けではペリルアルデヒドが特異的に検出される。

1982Chemical Senses (Pangborn & Braddock)

酸味の嗅覚的知覚と唾液分泌反射の関係を実験的に検証し、梅干しの匂いだけで唾液分泌量が有意に増加することを確認。嗅覚-唾液分泌反射の存在を初めて科学的に実証。

トリビア

  • 梅干しの酸っぱい匂いを嗅いだだけで唾液が出るのは条件反射(パブロフの犬と同じ原理)だが、梅干しの酸味成分が揮発して嗅上皮を刺激する直接的な経路もあり、嗅覚-唾液分泌反射が関与している。
  • 梅干しの赤色は赤紫蘇のアントシアニン(シソニン)が梅のクエン酸で赤く変色したもので、紫蘇を入れない白干し梅と赤紫蘇漬けでは香りのプロファイルが大きく異なる。赤紫蘇漬けにはペリルアルデヒドが加わる。
  • 紀州南高梅(和歌山県)は果肉が厚く種が小さいことで知られるが、香気成分においてもベンズアルデヒドの含有量が他品種より高いことがGC-MS分析で確認されている。