いい匂い食べ物・飲み物
かつお節
Katsuobushi (Dried Bonito Flakes)
香りの強さ:強いにおい
臭気の客観指標
臭気強度(6段階臭気強度表示法)
4 / 5
強いにおい
根拠: 環境省 6段階臭気強度表示法(悪臭防止法)
基準: 悪臭防止法 6段階臭気強度表示法(環境省)
嗅覚閾値(検知閾値)
0.003 ppm
代表成分: Guaiacol
出典: van Gemert, Odour Thresholds, 2011; Nagata Y., 2003
※ 臭気強度は環境省「6段階臭気強度表示法」に準拠した感覚的評価値です。嗅覚閾値はヒトが検知できる最低濃度で、値が小さいほど少量で匂いを感じます。
香りの説明
世界で最も硬い食品から削り出される薄片が放つ、芳醇でスモーキーな和の旨味香。燻煙乾燥で吸着したフェノール類と、カビ付け発酵で生成されるエステル類が調和した出汁文化の原点となる芳香。
主な化学物質
2-メトキシフェノール(グアイアコール)4-メチルグアイアコールベンズアルデヒド2,6-ジメトキシフェノールジメチルトリスルフィド
暮らしとの関わり
- 和食の出汁を象徴する香り
- スモーキーで芳醇な旨味香
- 台所で感じる温かな香り
- 出汁文化と深く結びつく
エビデンス
2001Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (坂口ら)
かつお節の焙乾工程で吸着するフェノール類(グアイアコール、4-メチルグアイアコール等)の量と種類を分析し、ナラ・カシ・サクラの燻煙材による香気プロファイルの違いを報告。
2003Journal of Food Science (Kurata et al.)
本枯節と荒節の揮発性成分を比較分析し、カビ付け工程でAspergillus glaucusが脂質を分解してエステル類を生成し、同時に生臭い不飽和脂肪酸を除去して香りがクリアになるメカニズムを解明。
2008Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry (Abe et al.)
かつお出汁の香気がヒトの脳波に与える影響を測定し、α波の増加とβ波の減少が認められ、リラクゼーション効果があることを報告。旨味香による自律神経への調節作用を示唆。
トリビア
- かつお節の製造は煮熟→焙乾(燻煙乾燥)→カビ付けの工程に4-6ヶ月を要し、焙乾で吸着するフェノール類と、カビ付けでAspergillus glaususが脂肪を分解して生成するエステル類の二層構造が複雑な香りを形成する。
- 「本枯節」は3回以上のカビ付けを経て水分含量が15%以下となった最高級品で、カビの脂質代謝により生臭い脂肪酸が除去され、上品でクリアな香りになる。
- かつお節の出汁の香りにはリラクゼーション効果があることが脳波測定実験で報告されており、α波の増加が認められている。

編集部の解説
かつお節は、芳醇でスモーキーな香りに、和の出汁らしい旨味の印象が重なる香りです。薄く削ったかつお節から立ち上がる芳香は、温かみがありながら存在感も強く、台所で出会うと食事の気配を感じさせます。
この複雑な香りを支えるのが、製造工程で生まれる二層の香りです。焙乾(燻煙乾燥)によって吸着したフェノール類の2-メトキシフェノール(グアイアコール)、4-メチルグアイアコール、2,6-ジメトキシフェノールなどがスモーキーさを形づくります。さらにカビ付け発酵ではエステル類が生成され、ベンズアルデヒドやジメチルトリスルフィドなどと調和します。
製造は煮熟、焙乾、カビ付けという工程からなり、出汁文化の原点となる食品です。なかでも本枯節は、3回以上のカビ付けを経たもの。かつお節は世界で最も硬い食品から削り出される薄片として、和食文化と深く結びついています。
香りを楽しむときは、削った薄片をそのまま味わうだけでなく、出汁に使って香りの広がりを確かめるのもよいでしょう。スモーキーさ、旨味、温かさのどこが強く感じられるかに注目すると、燻煙乾燥とカビ付け発酵が重なった香りの個性を捉えやすくなります。