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いい匂い食べ物・飲み物

柿

Persimmon (Kaki)

香りの強さ:何のにおいか判る弱いにおい

臭気の客観指標

臭気強度(6段階臭気強度表示法)
2 / 5
何のにおいか判る弱いにおい
根拠: 環境省 6段階臭気強度表示法(悪臭防止法)
基準: 悪臭防止法 6段階臭気強度表示法(環境省)
嗅覚閾値(検知閾値)
0.000007 ppm
代表成分: beta-Ionone
出典: van Gemert, Odour Thresholds, 2011; Buttery et al., 1988

※ 臭気強度は環境省「6段階臭気強度表示法」に準拠した感覚的評価値です。嗅覚閾値はヒトが検知できる最低濃度で、値が小さいほど少量で匂いを感じます。

香りの説明

完熟した甘柿から漂う上品で穏やかな甘い芳香。酢酸エチルやヘキサナールなどの青い果実香とカロテノイド分解物の甘い香りが混じり合い、秋の実りを象徴する日本の風土を感じさせる繊細な香り。

編集部の解説

完熟した甘柿からは、上品で穏やかな甘い芳香が漂います。青い果実を思わせる爽やかさと、熟した果実らしい甘さが重なり、香りの印象は繊細です。強く押し出すというより、秋の実りを静かに感じさせる、微弱でフルーティーなにおいといえるでしょう。

この香りには、酢酸エチル、ヘキサナール、(E)-2-ヘキセナール、リナロールなどが関わります。酢酸エチルやヘキサナールなどが青い果実香をつくり、カロテノイドの酸化分解物であるβ-イオノンが甘い香りを添えます。柿がオレンジ色に熟すほどβ-カロテンが増え、β-イオノンの存在が甘い芳香の背景になります。

柿は、秋の実りを象徴する日本の風土と結びついた香りです。食卓で完熟した甘柿を味わう場面だけでなく、渋柿の渋抜きにも独特の香りの変化があります。アルコールや二酸化炭素で渋抜きすると、渋みのもとである水溶性タンニンが不溶化し、その過程でアセトアルデヒドが生成されます。柿渋は古くから消臭剤にも活用されてきました。

楽しむときは、完熟した甘柿を食べる前に、果実の近くで穏やかな甘さと青い果実香の重なりに注目するとよいでしょう。香りが繊細なので、強い香りと混ぜず、柿そのものの印象を確かめるのがコツです。渋柿や柿渋では、甘柿とは異なる香りの成り立ちにも目を向けてみてください。

主な化学物質

酢酸エチルヘキサナール(E)-2-ヘキセナールβ-イオノンリナロール

暮らしとの関わり

  • 秋の季節感を感じる香り
  • 穏やかで上品な甘い芳香
  • 食卓で親しまれる果実の香り
  • 日本の風土を思わせる香り
  • 柿渋にも活用される文化

エビデンス

2009Journal of the Japanese Society for Horticultural Science (Oshima et al.)

甘柿と渋柿の揮発性成分をGC-MSで比較分析し、完熟甘柿ではβ-イオノンとリナロールの濃度が高く、渋柿では酢酸エチルとアセトアルデヒドが優勢であることを報告。

1978Journal of Agricultural and Food Chemistry (Matsuo & Ito)

柿タンニン(カキタンニン)がアンモニアやメチルメルカプタンなどの悪臭成分を効率的に吸着・中和する能力を持つことを実験的に確認。柿渋の消臭メカニズムの科学的根拠を提示。

トリビア

  • 柿の甘い香りの背景にはβ-イオノンが重要な役割を果たしている。これはβ-カロテンの酸化分解物で、柿がオレンジ色に熟すほどβ-カロテン含有量が増え、芳香も強まる。
  • 渋柿の渋みは水溶性タンニン(カキタンニン)によるもので、アルコールや二酸化炭素で渋抜きするとタンニンが不溶化する。この過程でアセトアルデヒドが生成され、渋抜き後の柿は独特の甘い芳香を持つ。
  • 柿タンニンは古くから消臭剤として活用されており、柿渋(柿の未熟果を搾った液)に含まれる高分子タンニンがアンモニアやメルカプタン類を吸着・中和する能力が科学的に確認されている。