いい匂い食べ物・飲み物
ワイン
Wine
香りの強さ:楽に感知できるにおい
臭気の客観指標
臭気強度(6段階臭気強度表示法)
3 / 5
楽に感知できるにおい
根拠: 環境省 6段階臭気強度表示法(悪臭防止法)
基準: 悪臭防止法 6段階臭気強度表示法(環境省)
嗅覚閾値(検知閾値)
0.000002 ppm
代表成分: beta-Damascenone
出典: Guth, J. Agric. Food Chem., 1997; van Gemert, 2011
※ 臭気強度は環境省「6段階臭気強度表示法」に準拠した感覚的評価値です。嗅覚閾値はヒトが検知できる最低濃度で、値が小さいほど少量で匂いを感じます。
香りの説明
ブドウの品種と風土(テロワール)を反映した多層的で芸術的な芳香。一次アロマ(ブドウ由来のテルペン類)、二次アロマ(発酵由来のエステル類)、三次アロマ(熟成由来の複雑な変化)が織りなす嗅覚の宝庫。
主な化学物質
リナロール酢酸イソアミルβ-ダマセノンロツンドンエチルオクタノエート
暮らしとの関わり
- 食事とともに香りを味わう
- 品種と風土を感じる香り
- 発酵と熟成の重なり
- 社交の場を彩る飲み物
エビデンス
1997Journal of Agricultural and Food Chemistry (Guth)
ワインの香気にβ-ダマセノンが極めて重要な寄与をすることをアロマ再構成実験で実証。嗅覚閾値が2 ng/L(水中)と極めて低く、微量で香りの複雑さを大幅に向上させることを報告。
2008Journal of Agricultural and Food Chemistry (Wood et al.)
シラー種赤ワインの「黒コショウ香」の原因物質としてロツンドン(sesquiterpene)を世界で初めて同定。冷涼な産地のシラーに特に多く含まれることを報告。
2019Wine & Spirits Education Trust (WSET)
ワインの香気成分を一次アロマ(品種由来)、二次アロマ(発酵由来)、三次アロマ(熟成由来)に体系的に分類。800種以上の揮発性成分のうち約50種が香りの知覚に重要であることを教育カリキュラムに明記。
トリビア
- ワインの香気成分は800種以上が同定されており、全食品中で最も複雑な揮発性プロファイルを持つ。しかしそのうち香りに重要な寄与をするのは約50種と考えられている。
- 赤ワインの「黒コショウの香り」はロツンドン(sesquiterpene)によるもので、シラー種に特に多く含まれる。2008年にオーストラリアの研究チームが同定した比較的新しい発見。
- ワインのコルク汚染臭(ブショネ)の原因物質2,4,6-トリクロロアニソール(TCA)の嗅覚閾値は2 ng/L(兆分の2)と極めて低く、人間が検知できる最も低濃度の化合物の一つである。

編集部の解説
ワインは、ブドウの品種と風土(テロワール)が重なった、フルーティーで甘く、爽やかさや温かみ、スパイシーさも感じられる香りです。一つの印象に収まらず、香りの層が次々に立ち上がる、多層的で芸術的な芳香として楽しめます。
香りの土台には、ブドウ由来のテルペン類による一次アロマ、発酵によって生まれるエステル類の二次アロマ、熟成に伴う複雑な変化から生まれる三次アロマがあります。リナロール、酢酸イソアミル、β-ダマセノン、ロツンドン、エチルオクタノエートなどの揮発性成分が、それぞれの層を構成する要素として香りに関わります。
食べ物・飲み物として、ワインは食事の場や人が集まる場に登場し、香りを手がかりに味わいを深める文化的な体験とも結びついています。品種やテロワール、発酵、熟成の違いをたどると、同じワインでも香りの表情が一様ではないことに気づけます。
楽しむときは、まずフルーティーさや甘さ、爽やかさを大きく捉え、次に温かさやスパイシーさなど細かな印象へ意識を移すのがコツです。香りを急いで決めつけず、一次・二次・三次アロマの重なりとして観察すると、複雑な芳香をより立体的に味わえます。