いい匂い食べ物・飲み物
焼き鳥
Yakitori (Grilled Chicken Skewers)
香りの強さ:強いにおい
臭気の客観指標
臭気強度(6段階臭気強度表示法)
4 / 5
強いにおい
根拠: 環境省 6段階臭気強度表示法(悪臭防止法)
基準: 悪臭防止法 6段階臭気強度表示法(環境省)
嗅覚閾値(検知閾値)
7e-9 ppm
代表成分: 2-Methyl-3-furanthiol
出典: van Gemert, Odour Thresholds, 2011; Gasser & Grosch, 1988
※ 臭気強度は環境省「6段階臭気強度表示法」に準拠した感覚的評価値です。嗅覚閾値はヒトが検知できる最低濃度で、値が小さいほど少量で匂いを感じます。
香りの説明
炭火で鶏肉を焼く際に立ち昇る香ばしく食欲をそそる芳香。脂肪の熱分解で生じるアルデヒド類とメイラード反応由来のピラジン類に、タレの焦げたカラメル香が加わった日本の居酒屋文化を象徴する匂い。
主な化学物質
2-メチル-3-フランチオールヘキサナールノナナール2,5-ジメチルピラジンフルフリルメルカプタン
暮らしとの関わり
- 炭火のスモーキーな印象
- 居酒屋文化を象徴する香り
- 社交の場を彩る芳香
- 帰宅途中に漂うノスタルジー
エビデンス
1988Journal of Agricultural and Food Chemistry (Gasser & Grosch)
加熱鶏肉の香気成分をAEDA法で分析し、2-メチル-3-フランチオールが最も高いFD値(フレーバー希釈値)を示す重要な肉の香ばしい香り成分であることを報告。
1998Meat Science (Mottram)
加熱肉のフレーバー形成におけるメイラード反応と脂質酸化の相互作用を総合的にレビュー。炭火焼きでは滴下した脂肪の熱分解物が煙として再吸着するフレームフレーバリング効果を詳述。
トリビア
- 焼き鳥の「炭火焼き特有の香り」は鶏脂が炭火に滴り落ちて生じる煙に含まれるフェノール類やグアイアコールがフレーバーとして鶏肉に再吸着する「フレームフレーバリング」による。
- 焼き鳥のタレ(醤油+みりん+砂糖)を繰り返し継ぎ足して使う「秘伝のタレ」は、加熱によるメイラード反応生成物が蓄積し、新しいタレにはない複雑な香気プロファイルを持つ。
- 鶏肉の加熱香気で最も重要な成分は2-メチル-3-フランチオールで、「肉の旨味の香り」の閾値が0.007 ppbと極めて低く、微量で強烈な肉の香ばしさを発する。

編集部の解説
焼き鳥は、炭火で鶏肉を焼くときに立ち昇る、温かくスモーキーで香ばしいにおいです。脂の焼けるむわっとした印象に、肉の旨味を思わせる濃い香ばしさ、さらにタレが焦げたカラメルのような甘い香りが重なります。煙を含んだ強い芳香は、焼き場から店先や通りへ広がります。
香りの土台には、鶏肉の脂肪が熱で分解されて生じるアルデヒド類のヘキサナールやノナナールがあります。加熱によるメイラード反応からは2,5-ジメチルピラジンが生まれ、焼けたような香ばしさを加えます。2-メチル-3-フランチオールやフルフリルメルカプタンは、肉らしい濃厚な香気に関わる成分です。
炭火焼きでは、鶏脂が炭火に滴り落ちて煙が生まれます。その煙に含まれるフェノール類やグアイアコールが鶏肉に再び付着する「フレームフレーバリング」によって、炭火特有の香りが形づくられます。醤油、みりん、砂糖を合わせたタレを焼き重ねる場面では、焦げた香りと加熱による複雑な香気も加わります。焼き鳥は、日本の居酒屋文化を象徴するにおいの一つです。
楽しむときは、まず焼き場から立つ煙と肉の香ばしさを分けて感じ、次にタレの焦げたカラメル香との重なりに注目するとよいでしょう。塩味なら炭火と肉の香り、タレ味なら甘く焦げた香りが前に出ます。店先や帰宅途中で漂う香りも含め、温かい料理と人の集まる場を結ぶ芳香として味わえます。