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いい匂い自然・環境

紅葉の匂い

Autumn Leaves Scent

香りの強さ:何のにおいか判る弱いにおい

臭気の客観指標

臭気強度(6段階臭気強度表示法)
2 / 5
何のにおいか判る弱いにおい
根拠: 環境省 6段階臭気強度表示法(悪臭防止法)
基準: 悪臭防止法 6段階臭気強度表示法(環境省)
嗅覚閾値(検知閾値)
0.000004 ppm
代表成分: Geosmin
出典: Nagata Y. (2003) Measurement of odor threshold by triangle odor bag method, Odor Measurement Review, pp.118-127; cf. Polak & Provasi, Chemical Senses, 1992 (water threshold)

※ 臭気強度は環境省「6段階臭気強度表示法」に準拠した感覚的評価値です。嗅覚閾値はヒトが検知できる最低濃度で、値が小さいほど少量で匂いを感じます。

香りの説明

秋の山道に漂う落ち葉と腐葉土の甘くアーシーな芳香。クロロフィルの分解で生じるフィトールや、リグニンの分解で放出されるバニリン、そして土壌微生物が産生するゲオスミンが混じり合った季節感あふれる香り。

編集部の解説

紅葉の匂いは、秋の山道で落ち葉と腐葉土が重なったときに漂う、甘くアーシーな芳香です。爽やかさやウッディさも含み、強く主張するというより、屋外の空気に淡く混じって感じられます。落ち葉の積もった場所や、雨上がりの土の近くで印象に残りやすい香りです。

香りの背景には、葉と土の変化があります。葉のクロロフィルが分解される過程ではフィトールが揮発し、リグニンの分解ではバニリンが放出されます。さらに、土壌微生物が産生するゲオスミンが加わり、落ち葉と腐葉土らしい土の気配をつくります。ヘキサナールやトランス-2-ヘキセナールも成分として挙げられています。

紅葉狩りで山道を歩くとき、色づいた木々だけでなく、足元の落ち葉からも季節を感じられます。日本の紅葉の名所として知られる京都・嵐山のトロッコ列車沿線には約25種のカエデが植えられ、樹種ごとに葉の精油組成が異なるため、場所によって香りの印象が微妙に変わります。

香りを楽しむときは、葉の色や道の景色と一緒に、落ち葉、腐葉土、雨上がりの土の違いをゆっくりかぎ分けるのがコツです。鼻を近づけすぎず、風に乗って届く淡い香りにも意識を向けると、フィトール、バニリン、ゲオスミンが重なる季節の表情を捉えやすくなります。

主な化学物質

フィトールバニリンゲオスミンヘキサナールトランス-2-ヘキセナール

暮らしとの関わり

  • 秋の山道を思わせる香り
  • 落ち葉と腐葉土の文化的風景
  • 紅葉狩りで親しまれる季節感
  • 雨上がりの土を思わせる印象

エビデンス

1999Phytochemistry (Rontani et al.)

クロロフィルの分解経路を解明し、フィトールの放出が葉の老化過程で促進されることを報告。紅葉期の落ち葉からのフィトール揮発量が緑葉の約5倍に達することを確認。

2012Atmospheric Chemistry and Physics (Guenther et al.)

森林からの生物起源VOC(BVOC)排出量の季節変動を測定し、秋季の落葉期にはテルペン類の放出パターンが変化し、リグニン分解物やフィトールの相対的比率が増加することを報告。

トリビア

  • 紅葉の赤色はアントシアニン、黄色はカロテノイドによるもので、葉が色づく過程でクロロフィルが分解されフィトールが揮発する。この「葉の老化」が秋の匂いの一因となる。
  • 落ち葉が積もった場所の独特の匂いは、土壌放線菌(Streptomyces属)が産生するゲオスミンが主成分で、雨上がりの土の匂い(ペトリコール)と同じ物質である。
  • 日本の紅葉の名所として知られる京都・嵐山のトロッコ列車沿線では、約25種のカエデが植えられており、樹種ごとに葉の精油組成が異なるため場所によって微妙に香りが変わる。