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いい匂い食べ物・飲み物

日本酒

Sake (Japanese Rice Wine)

香りの強さ:楽に感知できるにおい

臭気の客観指標

臭気強度(6段階臭気強度表示法)
3 / 5
楽に感知できるにおい
根拠: 環境省 6段階臭気強度表示法(悪臭防止法)
基準: 悪臭防止法 6段階臭気強度表示法(環境省)
嗅覚閾値(検知閾値)
0.001 ppm
代表成分: Ethyl caproate
出典: van Gemert, Odour Thresholds, 2011

※ 臭気強度は環境省「6段階臭気強度表示法」に準拠した感覚的評価値です。嗅覚閾値はヒトが検知できる最低濃度で、値が小さいほど少量で匂いを感じます。

香りの説明

米・麹・水から生まれる繊細で多層的な吟醸香。高度に精米した米を低温発酵させることで酵母が産生するカプロン酸エチルやカプリル酸エチルが、りんごやバナナを思わせるフルーティな芳香を形成する。

編集部の解説

日本酒の香りは、りんごやバナナを思わせるフルーティーさを軸に、甘さ、爽やかさ、温かみ、発酵由来の気配が重なる、繊細で多層的な吟醸香です。軽やかに立ち上がる印象がありながら、口に含むと香りの表情が広がります。

米・麹・水を原料に、高度に精米した米を低温で発酵させる過程で、酵母がさまざまな香り成分を生み出します。カプロン酸エチルとカプリル酸エチルはりんごのような芳香に、酢酸イソアミルはバナナを思わせる香りに関わります。ほかにも、4-ヒドロキシ-2(5)-エチル-5(2)-メチル-3(2H)-フラノンやイソアミルアルコールなどが重なり、香りに奥行きを与えます。

食事の場で親しまれる日本酒は、注いだ直後に立ち昇る「上立ち香」と、口中で温まって広がる「含み香」という二段階で香りを味わえます。香りの印象は酵母の種類によっても変わるため、同じ日本酒でも個性を比べられるのが魅力です。

楽しむときは、まず器に注いだ直後の香りを静かに確かめ、次に口中で広がる香りへ意識を移すと、香りの変化を捉えやすくなります。食事と合わせる際は、料理の香りを覆わないよう、香りの強さや温度との組み合わせを意識するとよいでしょう。

主な化学物質

カプロン酸エチル酢酸イソアミルカプリル酸エチル4-ヒドロキシ-2(5)-エチル-5(2)-メチル-3(2H)-フラノンイソアミルアルコール

暮らしとの関わり

  • りんごやバナナを思わせる香り
  • 食事の場で親しまれる飲み物
  • 上立ち香と含み香を楽しめる
  • 酵母で香りの個性が変わる

エビデンス

2014Journal of Bioscience and Bioengineering (Mimura et al.)

日本酒の吟醸香の主要成分であるカプロン酸エチルと酢酸イソアミルの生成を制御する酵母の遺伝子(FAS2, ATF1)を同定し、育種による香り制御の可能性を示唆。

2012酒類総合研究所 研究報告

全国新酒鑑評会の出品酒を統計的に分析し、金賞受賞酒はカプロン酸エチル濃度が非受賞酒より有意に高いことを確認。精米歩合と吟醸香の関係を定量的に報告。

トリビア

  • 大吟醸酒のフルーティな香りは酵母が低温(10℃前後)でゆっくり発酵する際にカプロン酸エチル(りんご香)を多く産生することで生まれ、酵母の種類(協会9号、1801号等)で香りプロファイルが大きく変わる。
  • 日本酒の香りは「上立ち香(うわだちか)」(注いだ直後に立ち昇る香り)と「含み香(ふくみか)」(口中で温まって広がる香り)の二段階で楽しまれ、ワインのアロマとブーケに相当する。
  • 日本酒のGC-MS分析では500種以上の揮発性成分が同定されており、ワインの800種に次ぐ複雑さを持つ醸造酒である。