いい匂い食べ物・飲み物
醤油
Soy Sauce
香りの強さ:強いにおい
臭気の客観指標
臭気強度(6段階臭気強度表示法)
4 / 5
強いにおい
根拠: 環境省 6段階臭気強度表示法(悪臭防止法)
基準: 悪臭防止法 6段階臭気強度表示法(環境省)
嗅覚閾値(検知閾値)
0.00004 ppm
代表成分: HEMF
出典: van Gemert, Odour Thresholds, 2011 (HEMF threshold); Sugawara et al., Biosci. Biotechnol. Biochem., 1994 (HEMF identification)
※ 臭気強度は環境省「6段階臭気強度表示法」に準拠した感覚的評価値です。嗅覚閾値はヒトが検知できる最低濃度で、値が小さいほど少量で匂いを感じます。
香りの説明
加熱時に立ち昇る香ばしく深みのある発酵香。大豆と小麦を麹菌・酵母・乳酸菌で発酵させる過程で300種以上の揮発性成分が生まれ、焦がし醤油の芳香はメイラード反応の傑作。
主な化学物質
HEMF2-フェニルエタノール4-エチルグアイアコールバニリンメチオナール
暮らしとの関わり
- 温かく香ばしい発酵香
- 料理に深みを添える調味料
- 焦がし醤油のスモーキーさ
- 日本の発酵文化を象徴する香り
- 世界に広がる調味料
エビデンス
2007Journal of Agricultural and Food Chemistry (Steinhaus & Schieberle)
醤油の香気成分をアロマ抽出希釈法(AEDA)で分析し、HEMFとメチオナールが最も高いフレーバー寄与率を持つことを報告。加熱によりピラジン類の寄与が増大する。
2010キッコーマン国際食文化研究センター
醤油の発酵過程における微生物の代謝と香気成分の生成メカニズムを総合的に解説。麹菌→乳酸菌→酵母の3段階発酵で300種以上の揮発性成分が段階的に生成されることを報告。
トリビア
- 醤油の香気成分は300種以上同定されているが、その中でHEMFが最も重要な特徴香成分で、味噌と共通する日本の発酵食品の「母なる香り」である。
- 醤油を加熱した時の香ばしい匂いはメイラード反応とストレッカー分解で新たに生成されるピラジン類やフラノン類によるもので、生醤油とは全く異なる香りプロファイルになる。
- 醤油の世界市場はアジア太平洋地域が約55%を占めるが、欧米での採用も拡大しており、グローバルな調味料として香りの認知度が高まっている。

編集部の解説
醤油は、温かく立ち昇る香ばしさと、深みのある発酵香をもつ調味料です。発酵由来の複雑さに、スモーキーな印象や旨味を思わせるニュアンスが重なり、台所では中程度の強さながら存在感のある香りとして感じられます。生の状態と、加熱したときとでは、表情が大きく変わります。
大豆と小麦を、麹菌・酵母・乳酸菌で発酵させる過程では、300種以上の揮発性成分が生まれます。HEMFは醤油の最も重要な特徴香成分とされ、2-フェニルエタノール、4-エチルグアイアコール、バニリン、メチオナールなどが複雑な香りを形づくります。味噌にも通じる、日本の発酵食品の「母なる香り」と表現できる存在です。
暮らしの中では、料理に加えた醤油が温まり、香ばしさを広げる場面で出会います。とくに焦がし醤油の芳香は、加熱によるメイラード反応の魅力が際立つものです。さらに、メイラード反応とストレッカー分解によってピラジン類やフラノン類が新たに生まれ、生醤油とは異なる香りのプロファイルになります。アジア太平洋地域を中心に、欧米にも採用が広がる調味料です。
香りを楽しむなら、生醤油と加熱した醤油を並べて、発酵香から香ばしさへ移る変化を確かめるのがおすすめです。加熱時は、立ち昇る香りや焦がしのニュアンスを意識すると、成分の重なりを感じ取りやすくなります。使う料理や加熱の有無で印象が変わるため、香りを見ながら加えるのがコツです。