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いい匂い食べ物・飲み物

出汁(鰹・昆布)

Dashi (Bonito & Kelp Broth)

香りの強さ:楽に感知できるにおい

臭気の客観指標

臭気強度(6段階臭気強度表示法)
3 / 5
楽に感知できるにおい
根拠: 環境省 6段階臭気強度表示法(悪臭防止法)
基準: 悪臭防止法 6段階臭気強度表示法(環境省)
嗅覚閾値(検知閾値)
0.0002 ppm
代表成分: Methional
出典: van Gemert, Odour Thresholds, 2011; Buttery et al., J. Agric. Food Chem.

※ 臭気強度は環境省「6段階臭気強度表示法」に準拠した感覚的評価値です。嗅覚閾値はヒトが検知できる最低濃度で、値が小さいほど少量で匂いを感じます。

香りの説明

旨味と磯の香りが調和する日本料理の礎。鰹節のイノシン酸と昆布のグルタミン酸の相乗効果に、スモーキーで魚介的な揮発性成分が加わった深みのあるアロマ。

編集部の解説

出汁(鰹・昆布)は、温かく、甘さを帯びた磯の香りと、燻したようなスモーキーさが重なるにおいです。魚介らしい厚みの奥に、旨味を思わせる丸みがあり、台所で立ち上がると料理の土台を感じさせます。鰹節由来の香りと昆布の磯の気配が調和した、存在感はありながら中程度の強さのアロマです。

味わいの中心には、鰹節のイノシン酸と昆布のグルタミン酸があります。二つの成分が重なることで旨味の印象が広がり、香りの面では2-メチル-3-フリルチオール、ジメチルスルフィド、グアイアコール、メチオナール、ベンズアルデヒドなどが関わります。とくに2-メチル-3-フリルチオールは、鰹節を焙乾する工程で生まれる硫黄化合物で、燻煙を思わせる香りの鍵になります。

この香りに出会うのは、汁物や煮物など、日本料理の台所です。鰹節は焙乾に加えて発酵・熟成の工程を経てつくられ、その製造には約半年を要します。硬く仕上がった鰹節と昆布から取る出汁は、日本料理の礎として、素材の味を支える存在です。

楽しむときは、出汁を取る前の鰹節や昆布、取った後の出汁を順に比べ、磯の香り、燻した香り、甘い印象の移り変わりに注目するとよいでしょう。料理に加える前後で香りを確かめれば、単独の素材から調和したアロマへ変わる過程も味わえます。

主な化学物質

2-メチル-3-フリルチオールジメチルスルフィドグアイアコールメチオナールベンズアルデヒド

暮らしとの関わり

  • 日本料理の土台となる香り
  • 燻した魚介の深い印象
  • 昆布と鰹の旨味の調和
  • 台所で親しまれる出汁文化

エビデンス

2009Chemical Senses (Rolls)

旨味刺激は眼窩前頭皮質を活性化し、快感と報酬応答を引き起こすことをfMRI研究で確認。出汁の旨味が心理的満足感をもたらす神経基盤を解明。

2004Journal of Food Science (Shimoda et al.)

鰹節の香気成分をGC-O(嗅覚検出器付きガスクロマトグラフ)で分析し、2-メチル-3-フリルチオールが最も強い香り寄与を持つ鍵香気成分であることを同定。

トリビア

  • 鰹節は世界で最も硬い食品としてギネスブックに記録されており、その製造工程は約半年に及ぶ発酵・熟成のプロセスである。
  • 鰹出汁の香りの鍵となる2-メチル-3-フリルチオールは、焙乾(燻す工程)で生成される硫黄化合物で、肉のロースト香にも関与する。