臭い匂い体臭・生体由来
赤ちゃんのおむつ
Dirty Diaper Odor
香りの強さ:強いにおい
臭気の客観指標
臭気強度(6段階臭気強度表示法)
4 / 5
強いにおい
根拠: 環境省 6段階臭気強度表示法(悪臭防止法)
基準: 悪臭防止法 6段階臭気強度表示法(環境省)
嗅覚閾値(検知閾値)
0.0012 ppm
代表成分: Skatole
出典: van Gemert, Odour Thresholds, 2011
※ 臭気強度は環境省「6段階臭気強度表示法」に準拠した感覚的評価値です。嗅覚閾値はヒトが検知できる最低濃度で、値が小さいほど少量で匂いを感じます。
香りの説明
使用済みの赤ちゃんのおむつから漂う、アンモニアと揮発性脂肪酸・インドールが混じった排泄臭。離乳食開始後は腸内細菌叢が変化して便臭が急激に強まり、スカトールやp-クレゾールの濃度が増加する。
主な化学物質
アンモニアスカトールインドールp-クレゾール揮発性脂肪酸(酪酸、プロピオン酸)
暮らしとの関わり
- 育児中の印象的な生活臭
- 離乳食で変わる便臭
- 外出先のおむつ交換
- 密閉空間で蓄積する臭気
- 専用ゴミ箱で扱うにおい
対策
- 使用済みおむつの速やかな密封廃棄
- 臭わないゴミ箱(密閉型)の使用
- 重曹入りゴミ袋の活用
- 換気の確保
エビデンス
2006Evolution and Human Behavior (Case et al.)
親が自分の子供のおむつ臭を他の子供のものより不快に感じにくいことを実験的に確認。オキシトシンと嗅覚の条件づけが嫌悪反応を抑制するメカニズムを示唆。
2011Gut Microbes (Koenig et al.)
乳児の腸内細菌叢の発達を出生から離乳完了まで追跡。離乳食開始後にClostridium属やBacteroides属が増加し、トリプトファンからスカトール・インドールを産生するようになることで便臭が大人に近づくメカニズムを報告。
トリビア
- 新生児の便は母乳由来のビフィズス菌(Bifidobacterium属)が優勢でヨーグルト様の酸臭が主体だが、離乳食開始後は腸内細菌叢が多様化し、Clostridium属やBacteroides属がトリプトファンを分解してスカトールやインドールを産生するため、大人に近い便臭に変化する。
- 「おむつの匂いが気にならない」という親が多いのは嗅覚の順応(ハビチュエーション)と、オキシトシン(愛着ホルモン)が嫌悪反応を抑制するためとされる。Case et al.(2006)は親が自分の子供のおむつ臭を他の子供のものより不快に感じにくいことを実験で確認した。
- おむつ用の消臭ゴミ箱に使われる「多層フィルム」技術は、おむつのVOCの透過を99%以上遮断する。抗菌剤を含む専用カートリッジと組み合わせることで、ゴミ箱内でのVOC蓄積を大幅に抑制する。

編集部の解説
赤ちゃんのおむつから漂うのは、アンモニアの刺激を軸に、揮発性脂肪酸やインドールが重なった排泄臭です。むわっとした強いにおいとして感じられやすく、トイレを連想させる腐敗臭やアンモニア臭も含みます。使用済みのおむつが密閉空間やゴミ箱に置かれると、周囲に印象が残りやすくなります。
においの構成は、成長による食事の変化とも関わります。新生児の便は母乳由来のビフィズス菌(Bifidobacterium属)が優勢で、ヨーグルト様の酸臭が主体です。離乳食開始後は腸内細菌叢が多様化し、Clostridium属やBacteroides属がトリプトファンを分解してスカトールやインドールを産生します。さらにp-クレゾールや、酪酸・プロピオン酸などの揮発性脂肪酸が加わり、大人に近い便臭へ変化します。
このにおいは、授乳や離乳食とともに変わる育児中の生活臭の一つです。外出先でのおむつ交換、家庭のゴミ箱、密閉された室内など、日常のさまざまな場面で出会います。新生児期の酸っぱい印象から、離乳食開始後のスカトールやインドールを含む便臭へ移る変化は、食生活と腸内細菌叢の違いを感じる場面でもあります。
扱うときは、使用済みのおむつを長く室内に置かず、臭気が蓄積しやすいゴミ箱の状態を意識するとよいでしょう。おむつ用の消臭ゴミ箱には、多層フィルムでおむつのVOCの透過を抑えるものがあります。交換場所や捨て方をあらかじめ決め、においがこもる前に処理するのがコツです。