臭い匂い体臭・生体由来
二日酔い体臭
Hangover Body Odor
香りの強さ:楽に感知できるにおい
臭気の客観指標
臭気強度(6段階臭気強度表示法)
3 / 5
楽に感知できるにおい
根拠: 環境省 6段階臭気強度表示法(悪臭防止法)
基準: 悪臭防止法 6段階臭気強度表示法(環境省)
嗅覚閾値(検知閾値)
0.0015 ppm
代表成分: Acetaldehyde
出典: Nagata Y. (2003) Measurement of odor threshold by triangle odor bag method, Odor Measurement Review, pp.118-127
※ 臭気強度は環境省「6段階臭気強度表示法」に準拠した感覚的評価値です。嗅覚閾値はヒトが検知できる最低濃度で、値が小さいほど少量で匂いを感じます。
香りの説明
大量飲酒の翌日に全身から漂う、アルデヒド臭と酸味を帯びた不快な体臭。肝臓で処理しきれなかったアセトアルデヒドが血流を通じて全身の皮膚や肺から揮発し、汗の酸臭と混じり合った「酒臭い」匂い。
主な化学物質
アセトアルデヒドエタノール(残留)酢酸ジアセチルアンモニア
暮らしとの関わり
- 翌朝の通勤で気づかれやすい
- 職場での印象に影響する
- 密閉空間で不快感を招く
- 飲酒文化に伴う身近なにおい
対策
- 飲酒量の適正管理
- 十分な水分補給
- 飲酒後の入浴・シャワー
- 衣類の着替え
エビデンス
2006Alcohol and Alcoholism (Jones)
アルコール代謝とアセトアルデヒドの体内動態を包括的にレビュー。ALDH2*2変異(東アジア人に約40%)を持つ個体ではアセトアルデヒドの血中濃度が正常型の5-10倍に達し、皮膚ガスとしての放出量も比例して増加することを報告。
2014Journal of Breath Research (Amann et al.)
呼気中VOCのリアルタイム測定によりアセトアルデヒドの体内動態を追跡。飲酒後6-10時間で皮膚ガスとしての放出がピークに達し、ALDH2活性の個人差が消失時間を大きく左右することを確認。
トリビア
- 二日酔いの体臭の主因はアセトアルデヒドで、エタノールの代謝中間体として肝臓のアルコール脱水素酵素(ADH)で生成される。日本人の約40%はアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH2)の活性が低い遺伝的多型を持ち、体内にアセトアルデヒドが蓄積しやすい。
- 二日酔いの呼気にはアセトアルデヒドだけでなくエタノールそのものも残留しており、飲酒後12時間経っても呼気アルコール濃度が0.15 mg/Lを超える場合がある。翌朝の「酒気帯び運転」が社会問題となる科学的根拠である。
- アセトアルデヒドの嗅覚閾値は1.5 ppbと低く、少量でも「ツンとする刺激的な甘酸っぱい匂い」として知覚される。皮膚ガスとしてのアセトアルデヒド放出量は飲酒後6-10時間でピークに達する。

編集部の解説
二日酔い体臭は、大量飲酒の翌日に全身から漂う、ツンとした刺激と甘酸っぱさを含むにおいです。酸っぱい汗のような酸臭に、酒が残ったようなエタノール臭が重なり、むわっと広がる不快な「酒臭さ」として感じられます。呼気だけでなく、皮膚からもにおいが立つのが特徴です。
中心になる成分はアセトアルデヒドです。飲酒したエタノールが肝臓で処理される途中に生じ、処理しきれない分が血流を通じて全身へ運ばれ、皮膚や肺から揮発します。そこへ残留したエタノール、汗由来の酢酸、さらにジアセチルやアンモニアなどの成分が加わり、刺激的な甘酸っぱさや酸臭を形づくります。アセトアルデヒドを処理する力には個人差があり、においの感じられ方にも違いが出ます。
出会いやすいのは、飲酒の翌朝の通勤電車や職場です。人が集まる密閉空間では、呼気と皮膚からの揮発成分が近くにいる人へ届きやすく、周囲に不快感を与えることがあります。翌朝の酒気帯び運転が社会問題となった背景にも、飲酒後にエタノールやアセトアルデヒドが残る現実があります。
香りを扱うときは、本人の印象だけで判断せず、電車や職場など周囲との距離が近い場面で特に配慮することが大切です。翌朝に人と会う予定があるなら、飲酒量と時間を意識し、衣服や呼気だけでなく皮膚からもにおいが出るものとして考えるとよいでしょう。香りの正体を知ることは、単に「酒臭い」と片づけず、成分の重なりとして受け止める手がかりになります。