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臭い匂い化学物質・自然現象dangerous

溶接煙

Welding Fume Odor

香りの強さ:強いにおい

臭気の客観指標

臭気強度(6段階臭気強度表示法)
4 / 5
強いにおい
根拠: 環境省 6段階臭気強度表示法(悪臭防止法)
基準: 悪臭防止法 6段階臭気強度表示法(環境省)
嗅覚閾値(検知閾値)
0.01 ppm
代表成分: Ozone
出典: van Gemert, Odour Thresholds, 2011; Nagata Y., 2003

※ 臭気強度は環境省「6段階臭気強度表示法」に準拠した感覚的評価値です。嗅覚閾値はヒトが検知できる最低濃度で、値が小さいほど少量で匂いを感じます。

香りの説明

金属の溶接・切断作業で発生する金属酸化物の微粒子とオゾンが混じった独特の刺激臭。アーク溶接のスパークが空気中の酸素をオゾンに変換し、溶融金属のヒュームと合わさって鼻と喉を刺激する金属臭。

編集部の解説

溶接煙は、金属を溶かしたときの熱気に、ツンとする刺激的な金属臭とスモーキーさが重なった、強烈なにおいです。アーク溶接ではスパークが空気中の酸素をオゾン(O3)に変換し、溶融金属から生じるヒュームと混ざります。そのため、単なる鉄のようなにおいではなく、清潔さを思わせる鋭さと、焦げたような煙たさが同居します。

においの中心になるのはオゾン(O3)ですが、溶接する金属や材料によって印象は変わります。ヒュームには酸化マンガンが含まれ、ステンレス溶接時には酸化クロム(ステンレス溶接時)も加わります。さらに窒素酸化物(NOx)や、フラックス由来のフッ化水素(フラックス由来)が混じり、複数の成分が金属的で鼻を刺すような複雑さをつくります。

暮らしの中では、金属の溶接・切断作業を行う職場や作業場で出会うにおいです。青白いスパークや煙が立つ場面と結びつきやすく、工場や修理の現場を連想させる「職場のにおい」の一つともいえます。溶接する素材や方法によって成分の組み合わせが変わるため、同じ溶接煙でも、金属らしさや煙たさの現れ方には違いがあります。

香りとしては、心地よさを求めて近づくものではなく、溶接作業が行われていることを知らせる現場のサインとして捉えるのが適切です。観察するときは、オゾン(O3)の鋭い印象、酸化マンガンや酸化クロム(ステンレス溶接時)が加える金属的な重さ、窒素酸化物(NOx)やフッ化水素(フラックス由来)の混じり方を、ひとまとめの「溶接煙のにおい」として覚えるとよいでしょう。

主な化学物質

オゾン (O3)酸化マンガン酸化クロム(ステンレス溶接時)窒素酸化物 (NOx)フッ化水素(フラックス由来)

暮らしとの関わり

  • 金属加工の現場を思わせる
  • スパークと結びつく刺激臭
  • 工場・職場のにおい
  • 溶接方法で印象が変わる

対策

  • 適切な局所排気装置の使用
  • 溶接用防じんマスク(PAPR等)の着用
  • 溶接作業場の十分な換気
  • 溶接条件の最適化(入熱量の管理)

エビデンス

2017Lancet Oncology (IARC Working Group)

IARCは溶接ヒュームをグループ1(ヒトに対して発がん性がある)に分類。肺がんとの因果関係を示す十分な疫学的エビデンスがあることを評価。特にステンレス溶接の六価クロム曝露が高リスク。

2011Annals of Occupational Hygiene (Schoonover et al.)

溶接作業中のオゾン発生量を溶接方法別に測定し、MIG溶接(アルミ)が最大0.5 ppm、TIG溶接が0.1 ppmのオゾンを発生させることを確認。オゾンの嗅覚閾値0.01 ppmを大幅に超える曝露レベルであることを報告。

トリビア

  • 溶接煙に含まれる金属微粒子は直径0.01-1μmのナノ粒子で、肺胞まで到達して沈着する。長期曝露により「溶接工肺(welder's lung)」と呼ばれるじん肺が発症することがある。
  • 溶接時のオゾン発生量はアーク溶接の種類により異なり、MIG溶接(アルミ)が最も多い。オゾンの嗅覚閾値は0.01 ppmと低く、「清潔な刺激臭」として知覚されるが、0.1 ppm以上で粘膜刺激が生じる。
  • ステンレス鋼の溶接では六価クロム(Cr(VI))を含むヒュームが発生し、IARCグループ1(ヒトに対して発がん性がある)に分類されている。2017年にIARCは溶接ヒュームそのものもグループ1に格上げした。