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臭い匂い化学物質・自然現象

電車のブレーキ臭

Train Brake Odor

香りの強さ:何のにおいか判る弱いにおい

臭気の客観指標

臭気強度(6段階臭気強度表示法)
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何のにおいか判る弱いにおい
根拠: 環境省 6段階臭気強度表示法(悪臭防止法)
基準: 悪臭防止法 6段階臭気強度表示法(環境省)
嗅覚閾値(検知閾値)
0.0056 ppm
代表成分: Phenol
出典: Nagata Y. (2003) Measurement of odor threshold by triangle odor bag method, Odor Measurement Review, pp.118-127

※ 臭気強度は環境省「6段階臭気強度表示法」に準拠した感覚的評価値です。嗅覚閾値はヒトが検知できる最低濃度で、値が小さいほど少量で匂いを感じます。

香りの説明

電車が駅に停車する際にブレーキパッドとディスクの摩擦で発生する、金属と樹脂が焦げたような刺激臭。フェノール樹脂系の結合材が熱分解して放出されるフェノールやクレゾールに、金属微粒子が混じった都市交通特有の匂い。

編集部の解説

電車のブレーキ臭は、駅に停車する瞬間に立ちのぼる、金属と樹脂が焦げたような刺激臭です。スモーキーで金属的な印象があり、強いときには車両の減速を嗅覚で感じ取れる、都市交通特有のにおいといえます。状況によっては微弱に感じられることもあります。

このにおいは、ブレーキパッドとディスクがこすれ合う摩擦で生まれます。パッドに使われるフェノール樹脂系の結合材が熱分解し、フェノールやクレゾール、ホルムアルデヒドなどを放出します。そこへ鉄や銅の金属微粒子が混じることで、焦げた樹脂のようなにおいと金属的な印象が重なります。成分としてはアクリロニトリルも挙げられています。

出会う場面は、電車が駅へ入り、停車する前後です。とくに地下鉄の駅では、ブレーキ粉塵がたまりやすい環境とされ、地上の鉄道駅とは異なる、こもった交通のにおいとして印象に残ります。近年の車両は回生ブレーキを主に使い、機械ブレーキは低速域で使われるため、旧型車両に比べてブレーキ臭は大幅に減っています。

楽しむなら、ホームで車両が止まる直前に、金属音や車輪の動きとともに短く意識してみるのがよいでしょう。焦げた樹脂、金属、煙っぽさのどれが先に立つかを分けて感じると、同じブレーキ臭でも印象の違いに気づけます。強いときは無理に近づかず、駅の空気の一要素として距離を置いて扱いましょう。

主な化学物質

フェノールクレゾールホルムアルデヒド金属微粒子(鉄、銅)アクリロニトリル

暮らしとの関わり

  • 停車時の刺激的な印象
  • 金属と樹脂の焦げた印象
  • 都市交通を象徴する匂い
  • 地下鉄にこもる交通の匂い
  • 旧型車両との結びつき

対策

  • 駅ホームの換気設備の改善
  • ブレーキ材の低VOC化
  • ホームドアによる粉塵拡散の抑制
  • 回生ブレーキの採用拡大

エビデンス

2005Atmospheric Environment (Seaton et al.)

ロンドン地下鉄の駅構内粒子状物質を測定し、地上の鉄道駅と比べてPM2.5濃度が10-100倍高いことを報告。鉄系ナノ粒子がブレーキ磨耗の主要な排出源であることを同定。

2015Science of The Total Environment (Moreno et al.)

バルセロナ地下鉄の空気質を分析し、ブレーキパッドの熱分解で放出されるフェノール類とホルムアルデヒドが検出されることを確認。回生ブレーキ採用車両では粉塵と有害ガスの排出が大幅に減少することを報告。

トリビア

  • 電車のブレーキ臭の主因はフェノール樹脂系のブレーキパッドが300-400℃に加熱されて熱分解し、フェノールやホルムアルデヒドが放出されるためである。急ブレーキ時ほど温度が高くなり匂いが強まる。
  • 地下鉄の駅構内は地上の鉄道駅と比べてブレーキ粉塵の濃度が10-100倍高いことが報告されており(Seaton et al., 2005)、換気量の少ない密閉空間での粉塵蓄積が問題視されている。
  • 近年の電車は回生ブレーキ(モーターを発電機として使い運動エネルギーを電気に変換して減速する方式)を主に使用し、機械ブレーキは低速域のみの使用となるため、ブレーキ臭は旧型車両より大幅に減少している。