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臭い匂い化学物質・自然現象dangerous

燃えたゴム

Burning Rubber Odor

香りの強さ:強烈なにおい

臭気の客観指標

臭気強度(6段階臭気強度表示法)
5 / 5
強烈なにおい
根拠: 環境省 6段階臭気強度表示法(悪臭防止法)
基準: 悪臭防止法 6段階臭気強度表示法(環境省)
嗅覚閾値(検知閾値)
0.21 ppm
代表成分: Carbon disulfide
出典: Nagata Y. (2003) Measurement of odor threshold by triangle odor bag method, Odor Measurement Review, pp.118-127

※ 臭気強度は環境省「6段階臭気強度表示法」に準拠した感覚的評価値です。嗅覚閾値はヒトが検知できる最低濃度で、値が小さいほど少量で匂いを感じます。

香りの説明

タイヤや工業用ゴム製品が過熱・燃焼する際に発生する、焦げた硫黄と石油系の刺激的で喉に張り付くような悪臭。加硫ゴムの硫黄架橋が熱分解して硫化水素やCS₂が放出され、黒煙とともに広範囲に拡散する。

編集部の解説

燃えたゴムのにおいは、焦げた硫黄のような重さに、石油系の刺激が重なる強烈な悪臭です。煙っぽく、ツンと鼻を刺し、喉に張り付くように感じられます。タイヤや工業用ゴム製品が過熱・燃焼したとき、黒煙とともに広い範囲へ漂います。

このにおいには、ゴムの構造と熱分解が関わっています。加硫ゴムにある硫黄架橋が熱で分解すると、硫化水素や二硫化炭素(CS2)が放出されます。さらに、スチレン、1,3-ブタジエン、ベンゼンなどの成分も生じ、焦げた硫黄と油のような刺激的な印象を形づくります。

暮らしの中では、タイヤやゴム製品の燃焼、急ブレーキの跡、自動車レースでタイヤが滑る場面などで出会います。レースのタイヤスモークは、ゴムの摩擦熱によって表面が熱分解して生まれるものです。一方、廃タイヤ火災では黒煙と油状物質を伴う燃焼が長く続くことがあり、環境や産業に関わる象徴的なにおいとして記憶されています。

香りとして楽しむ対象ではなく、発生源を見分けるための強い手がかりとして捉えるのがよいでしょう。屋外でこのにおいを感じたら、煙の流れや風向きを確認し、燃えているゴム製品には近づかないこと。自動車レースなどでは、タイヤが路面を擦る瞬間の煙とともに現れる、短く濃い香りとして観察できます。

主な化学物質

硫化水素二硫化炭素 (CS2)スチレン1,3-ブタジエンベンゼン

暮らしとの関わり

  • 焦げた硫黄を思わせる悪臭
  • タイヤ燃焼時の黒煙のにおい
  • 自動車レースのタイヤスモーク
  • 廃タイヤ火災を象徴するにおい

対策

  • 燃焼源からの速やかな退避
  • 窓を閉めて室内への侵入を防ぐ
  • 消防への通報
  • 防毒マスクの着用(曝露時)

エビデンス

1995Journal of Analytical and Applied Pyrolysis (Williams et al.)

廃タイヤの熱分解生成物を分析し、300-500℃でスチレン、ベンゼン、1,3-ブタジエンが主要な揮発性生成物として放出されることを報告。1,3-ブタジエンはIARCグループ1の発がん物質。

2015Atmospheric Environment (Downard et al.)

タイヤ火災から排出される有害物質を実測し、PM2.5、PAH、揮発性有機化合物の排出係数を定量化。タイヤ1kgの燃焼で約0.3gのPAH、2Lの油状凝縮物が発生することを報告。

トリビア

  • タイヤ1本(約10kg)の燃焼で約2Lの油状物質と大量の黒煙(カーボンブラック微粒子)が発生し、その煙には1,3-ブタジエンやベンゼンなどのIARC グループ1発がん物質が含まれる。
  • 自動車レースのタイヤスモークや急ブレーキ時のスキッドマークの匂いは、ゴムの摩擦熱(200-300℃)による表面の熱分解で生じる。ドリフト走行時のタイヤ表面温度は250℃に達する。
  • 廃タイヤ火災は消火が極めて困難で、1989年にイギリス・ウェールズのヘイオープ(Heyope)で発生した廃タイヤ火災では約1000万本のタイヤが着火し、15年以上にわたって燻り続けた世界最長級のタイヤ火災となった。