本文へスキップ
臭い匂い化学物質・自然現象注意

アスファルト臭(夏)

Hot Asphalt Odor (Summer)

香りの強さ:楽に感知できるにおい

臭気の客観指標

臭気強度(6段階臭気強度表示法)
3 / 5
楽に感知できるにおい
根拠: 環境省 6段階臭気強度表示法(悪臭防止法)
基準: 悪臭防止法 6段階臭気強度表示法(環境省)
嗅覚閾値(検知閾値)
0.003 ppm
代表成分: Naphthalene
出典: Nagata Y. (2003) Measurement of odor threshold by triangle odor bag method, Odor Measurement Review, pp.118-127

※ 臭気強度は環境省「6段階臭気強度表示法」に準拠した感覚的評価値です。嗅覚閾値はヒトが検知できる最低濃度で、値が小さいほど少量で匂いを感じます。

香りの説明

真夏の強い日差しで加熱されたアスファルト舗装から揮発する、石油系の重たい刺激臭。ビチューメン(アスファルト結合材)に含まれる多環芳香族炭化水素やナフテン類が高温で気化して発する独特の都市の夏の匂い。

編集部の解説

真夏の強い日差しを受けた黒い路面から、石油系の重たく刺激的なにおいが立ち上がります。スモーキーで、むわっと鼻に届くこの香りは、屋外の舗装路や駐車場で感じやすく、都市の夏を印象づける独特のにおいです。乾いた暑さの中に、路面そのものが熱を帯びている感覚を重ねて感じる人もいるでしょう。

においのもとになるのは、アスファルト結合材であるビチューメンに含まれる成分です。多環芳香族炭化水素やナフテン類が高温で気化し、ナフタレン、フェナントレン、ベンゾチオフェン、チオフェン、トルエンなどが混ざって、重さと刺激を持つ独特の香りを生みます。日差しで路面が熱せられるほど、舗装の存在感とともに香りが強く感じられます。

このにおいは、夏の道路、広い駐車場、舗装工事の現場など、暮らしの動線に現れます。新しく敷かれた舗装の近くで感じるにおいと、長く日差しを受けた路面から漂うにおいには、それぞれ異なる印象があります。特別な香料ではなく、都市の素材と季節が組み合わさって生まれる、現代の街の風景に結びついた香りです。

楽しむときは、路面に近づきすぎず、風の通る場所で短く印象を確かめるのがコツです。強く感じる場所では無理に嗅ぎ続けず、道路の色、熱気、音と一緒に「夏の街の記憶」として捉えると、この香りの個性を味わいやすくなります。

主な化学物質

ナフタレンフェナントレンベンゾチオフェンチオフェントルエン

暮らしとの関わり

  • 都市の夏を象徴する香り
  • 舗装工事を思わせるにおい
  • 黒い路面と結びつく印象
  • 屋外で強く感じる刺激臭

対策

  • 炎天下でのアスファルト近くの長時間滞在を避ける
  • 窓を開けた換気の適切な管理
  • 遮熱性舗装・保水性舗装の普及促進
  • 街路樹・緑化による温度低減

エビデンス

2013IARC Monographs on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans (IARC)

アスファルト舗装作業中の曝露をグループ2B(ヒトに対して発がん性の可能性あり)に分類。ビチューメンのヒュームに含まれる多環芳香族炭化水素(PAH)への職業曝露リスクを評価。

2020Environmental Science & Technology (Khare et al.)

都市部のアスファルト舗装が夏季の高温で放出するVOCの総量を測定し、交通排ガスに匹敵するレベルのVOC排出源であることを初めて定量的に報告。路面温度60℃でVOC排出量が300%増加。

トリビア

  • アスファルトの匂いは路面温度が50℃を超えると急激に強まる。真夏の黒いアスファルト路面は60-70℃に達し、ビチューメンの軟化点(45-55℃)を超えるとVOCの揮発が加速する。
  • アスファルト舗装工事の従事者は多環芳香族炭化水素(PAH)への職業曝露リスクがあり、IARCはアスファルト舗装作業中の曝露をグループ2B(発がん性の可能性あり)に分類している。
  • 東京都では「遮熱性舗装」の導入が進んでおり、特殊な塗料で路面温度を最大10℃低減させることで、アスファルト臭の軽減とヒートアイランド対策を同時に実現している。