臭い匂い生活環境注意
堆肥
Compost Odor
香りの強さ:強いにおい
臭気の客観指標
臭気強度(6段階臭気強度表示法)
4 / 5
強いにおい
根拠: 環境省 6段階臭気強度表示法(悪臭防止法)
基準: 悪臭防止法 6段階臭気強度表示法(環境省)
嗅覚閾値(検知閾値)
0.00041 ppm
代表成分: Hydrogen sulfide
出典: Nagata Y. (2003) Measurement of odor threshold by triangle odor bag method, Odor Measurement Review, pp.118-127
※ 臭気強度は環境省「6段階臭気強度表示法」に準拠した感覚的評価値です。嗅覚閾値はヒトが検知できる最低濃度で、値が小さいほど少量で匂いを感じます。
香りの説明
有機物が微生物により分解される過程で発生する、嫌気性発酵に由来する硫化水素・アンモニア・揮発性脂肪酸の複合臭。堆肥化初期の強烈な悪臭は、分解が進むにつれ土の香り(ゲオスミン)に変化する。
主な化学物質
硫化水素アンモニア揮発性脂肪酸(酪酸、プロピオン酸)メチルメルカプタンゲオスミン
暮らしとの関わり
- 腐敗臭を含む強い環境臭
- 家庭菜園で出会うにおい
- 初期はハエ等を誘引
- 熟成で土の香りに変化
- 堆肥の熟成度を示す手がかり
対策
- 好気的条件の維持(定期的な切り返し)
- 水分含量の適正管理(50-60%)
- 炭素/窒素比(C/N比)の調整
- 石灰や活性炭の添加による脱臭
エビデンス
1997Compost Science & Utilization (Epstein)
堆肥化過程における臭気発生メカニズムを包括的にレビュー。嫌気条件で硫化水素・メルカプタン類が生成され、好気的管理(C/N比25-30、水分50-60%、定期的切り返し)で臭気を90%以上低減できることを報告。
2004Waste Management (Sundberg et al.)
堆肥化温度と微生物叢の変化を追跡し、55-65℃の高温域で好熱性放線菌が優勢となり、ゲオスミンを産生して「土の匂い」に変化するメカニズムを解明。完熟堆肥の品質指標としての香りの有用性を報告。
トリビア
- 堆肥化で悪臭が生じるのは嫌気的条件下で硫酸還元菌やメタン生成菌が活動するためで、堆肥の中心部に十分な酸素を供給(切り返し)すれば好気性菌が優勢となり、臭いは大幅に減少する。
- 完熟堆肥の「土の良い匂い」はゲオスミンと2-メチルイソボルネオール(2-MIB)によるもので、これらは放線菌(Streptomyces属)が好気条件下で産生する。堆肥の匂いで熟成度を判断できる。
- コンポストの適正温度は55-65℃で、この温度帯では病原菌や雑草の種子も死滅する。日本の有機JAS規格では堆肥化温度の記録が義務付けられている。

編集部の解説
堆肥のにおいは、堆肥化の初期に強く感じられる、腐敗臭を含む刺激的でツンとした複合臭です。屋外でもむわっと広がり、特に夏には強く感じられることがあります。分解が進むと印象は変わり、次第に土の香りへ移っていきます。
このにおいを生むのは、有機物が微生物に分解される過程で発生する硫化水素、アンモニア、揮発性脂肪酸(酪酸、プロピオン酸)などです。メチルメルカプタンも加わり、嫌気性発酵に由来する複雑なにおいになります。一方、熟成が進んだ堆肥の「土の良い匂い」にはゲオスミンが関わります。ゲオスミンは、好気条件下で放線菌(Streptomyces属)が産生する成分です。
暮らしの中では、家庭菜園や堆肥置き場で出会う身近な環境臭です。初期の強いにおいは近隣住民への悪臭被害や、家庭菜園でのトラブルにつながることがあります。ハエ等の害虫を誘引する場面もあり、堆肥のにおいは周囲の環境と切り離せません。日本の有機JAS規格では、堆肥化温度の記録が義務付けられています。
扱うときは、堆肥の中心部に十分な酸素を供給する「切り返し」がポイントです。嫌気的な状態から好気的な状態へ移ると、においは大幅に減少します。においの変化を観察し、強烈な悪臭から土の香りへ移っているかを、熟成度を見極める手がかりにできます。