本文へスキップ
臭い匂い生活環境注意

鶏糞

Chicken Manure Odor

香りの強さ:強烈なにおい

臭気の客観指標

臭気強度(6段階臭気強度表示法)
5 / 5
強烈なにおい
根拠: 環境省 6段階臭気強度表示法(悪臭防止法)
基準: 悪臭防止法 6段階臭気強度表示法(環境省)
嗅覚閾値(検知閾値)
1.5 ppm
代表成分: Ammonia
出典: Nagata Y. (2003) Measurement of odor threshold by triangle odor bag method, Odor Measurement Review, pp.118-127

※ 臭気強度は環境省「6段階臭気強度表示法」に準拠した感覚的評価値です。嗅覚閾値はヒトが検知できる最低濃度で、値が小さいほど少量で匂いを感じます。

香りの説明

養鶏場や堆肥場に漂う鶏の糞尿が嫌気的に分解されて生じるアンモニアと硫化水素を主体とした強烈な刺激臭。高タンパクの飼料に由来する含窒素・含硫化合物が揮発し、風向きにより遠方まで届く。

編集部の解説

鶏糞のにおいは、ツンと鼻を刺す刺激臭と、むわっと広がる腐敗臭が重なった強烈なにおいです。養鶏場や堆肥場の周辺で感じやすく、屋外でも風向きによって遠くまで届きます。特に夏のようににおいが立ちやすい場面では、存在感が増します。

主な成分はアンモニアと硫化水素で、トリメチルアミン、スカトール、揮発性脂肪酸(酪酸、吉草酸)もにおいを形づくります。鶏の糞尿が嫌気的に分解されると、高タンパクの飼料に由来する含窒素・含硫化合物が揮発し、これらの成分が刺激や腐敗した印象を生みます。

暮らしの中では、養鶏場、鶏糞を扱う堆肥場、農地の周辺などで出会います。鶏糞は畜産の営みから生じるものですが、堆肥として農地に利用される一面もあります。一方、適切な堆肥化が行われないと、悪臭が残り、周辺住民との暮らしの距離が近くなります。

扱うときは、風向きを意識し、においが強く感じられる場所や時間帯を避けるのがコツです。鶏糞堆肥は好気発酵を行い、60℃以上を維持する適切な堆肥化が前提になります。においを無理に確かめようとせず、発生源から距離を取り、風下ににおいを運ばせない環境づくりを考えましょう。

主な化学物質

アンモニア硫化水素トリメチルアミンスカトール揮発性脂肪酸(酪酸、吉草酸)

暮らしとの関わり

  • 養鶏場周辺の強い刺激臭
  • 堆肥場に漂う腐敗臭
  • 風向きで遠くまで届く
  • 農地で扱われる有機肥料
  • 畜産と暮らしの接点

対策

  • 鶏舎の適切な換気
  • 糞の迅速な除去と乾燥処理
  • 活性炭・ゼオライトによる吸着
  • 好気的堆肥化の促進

エビデンス

2004British Poultry Science (Lacey et al.)

養鶏場の臭気成分を包括的に分析し、アンモニア、揮発性脂肪酸、トリメチルアミンが主要な悪臭成分であることを確認。鶏舎の換気率と臭気濃度の逆相関関係を定量化。

2004Poultry Science (Ritz et al.)

鶏舎内のアンモニア濃度と産卵率の関係を調査し、25 ppm以上のアンモニア曝露で産卵率が5-10%低下し、50 ppm以上では呼吸器疾患の発生率が有意に増加することを報告。

トリビア

  • 鶏糞が特に臭いのは、鶏の消化管が短く(約2.5m、豚の約1/8)飼料の消化率が低いため、未消化のタンパク質が糞中で腐敗してアンモニアやトリメチルアミンを大量に産生するためである。
  • 鶏糞のアンモニア発生量は畜種中最大で、鶏舎内のアンモニア濃度は25-50 ppmに達することがある。25 ppm以上では鶏自身の産卵率が低下し、飼養管理上も問題となる。
  • 鶏糞堆肥は窒素・リン・カリウムのバランスが良い優れた有機肥料だが、適切な堆肥化(好気発酵、60℃以上の維持)を行わないと悪臭と病原菌の問題が解消されない。