臭い匂い生活環境
玄関の臭い
Entryway odor
香りの強さ:楽に感知できるにおい
臭気の客観指標
臭気強度(6段階臭気強度表示法)
3 / 5
楽に感知できるにおい
根拠: 環境省 6段階臭気強度表示法(悪臭防止法)
基準: 悪臭防止法 6段階臭気強度表示法(環境省)
嗅覚閾値(検知閾値)
0.000078 ppm
代表成分: Isovaleric acid (3-Methylbutanoic acid)
出典: Nagata Y. (2003), JAOE database entry #74. Isovaleric acid: 7.8 x 10^-5 ppm.
※ 臭気強度は環境省「6段階臭気強度表示法」に準拠した感覚的評価値です。嗅覚閾値はヒトが検知できる最低濃度で、値が小さいほど少量で匂いを感じます。
香りの説明
玄関を開けた瞬間に漂う靴・傘・コートが混じった複合臭。靴内部のイソ吉草酸、湿った傘のカビ臭、コートに付着した外気の臭いが密閉空間で凝縮される。
主な化学物質
イソ吉草酸カビ由来の揮発性有機化合物(MVOC)酪酸革のなめし剤由来アルデヒド酢酸ゲオスミン
暮らしとの関わり
- 来客時の玄関印象を左右
- 靴箱にこもる複合臭
- 湿った傘のカビ臭が混在
- 革製品のにおいも重なる
- 生活環境の悪臭として規制対象
対策
- 靴箱内の換気・除湿(珪藻土・乾燥剤の設置)
- 活性炭や重曹での消臭
- 靴のローテーション(同じ靴を連日履かない)
- 靴内部の乾燥(新聞紙を詰める)
エビデンス
2006環境省 悪臭防止法 特定悪臭物質ガイドライン
イソ吉草酸を含む22物質を「特定悪臭物質」に指定。イソ吉草酸の規制基準値は敷地境界で0.001-0.01 ppmと、全物質中で最も低い値の一つ。靴内の密閉環境でイソ吉草酸が蓄積・揮発し、靴箱全体に臭いが広がるメカニズムと一致。
2015繊維製品消費科学(日本繊維製品消費科学会)
靴内環境の微生物叢と臭気の関連を調査。着用後の靴内から検出されるイソ吉草酸がStaphylococcus属による分岐鎖アミノ酸の代謝産物であることを確認。靴の素材(合成皮革vs天然皮革)により蓄積量が異なる。
トリビア
- 靴箱臭の主犯であるイソ吉草酸は「特定悪臭物質」に指定されており、悪臭防止法の規制対象となっている22物質の一つ。
- 靴を1日履くと約200mlの足汗が靴に吸収され、密閉した靴箱では水分が蒸発せず細菌の培養器のような環境になる。

編集部の解説
玄関の臭いは、ドアを開けた瞬間に感じる、酸っぱく汗臭い、むわっとした複合臭です。靴・傘・コートのにおいが重なり、密閉された靴箱や玄関では、こもった発酵臭のように感じられることもあります。湿った季節や夏には、印象が強まりやすいにおいです。
中心となる成分の一つが、靴の内部から生じるイソ吉草酸です。そこに、湿った傘から漂うカビ由来の揮発性有機化合物(MVOC)、酪酸、革のなめし剤由来アルデヒド、酢酸が重なります。さらに、外気や土の印象をもつゲオスミンなども加わり、単一ではなく、酸味・汗臭さ・カビ臭が入り混じったにおいになります。
このにおいは、靴を脱ぎ履きする日常の出入口で出会います。来客を迎える場所でもあるため、玄関の印象を左右しやすい存在です。靴箱臭の主犯とされるイソ吉草酸は、特定悪臭物質として悪臭防止法の規制対象となる22物質の一つで、生活環境のにおいを考える手がかりにもなります。
香りを扱うときは、靴・傘・コートを一つのにおいとして片づけず、どこから何が重なっているかを分けて観察するとよいでしょう。玄関を開けた直後、靴箱の近く、湿った傘のそばなど、場所ごとの違いにも注目できます。消臭を考える場合も、においの元と湿り気を分けて扱うのがコツです。