臭い匂い化学物質・自然現象
酪酸(嘔吐臭)
Butyric acid (Vomit odor)
香りの強さ:強いにおい
臭気の客観指標
臭気強度(6段階臭気強度表示法)
4 / 5
強いにおい
根拠: 環境省 6段階臭気強度表示法(悪臭防止法)
基準: 悪臭防止法 6段階臭気強度表示法(環境省)
嗅覚閾値(検知閾値)
0.00019 ppm
代表成分: Butyric acid (n-Butanoic acid)
出典: Nagata Y. (2003), JAOE database entry #71. n-Butyric acid: 1.9 x 10^-4 ppm.
※ 臭気強度は環境省「6段階臭気強度表示法」に準拠した感覚的評価値です。嗅覚閾値はヒトが検知できる最低濃度で、値が小さいほど少量で匂いを感じます。
香りの説明
嘔吐物や腐ったバターの特徴的な臭いの原因物質。短鎖脂肪酸の一種で、0.19 ppbという非常に低い濃度でヒトに検出される。嫌気性発酵で産生され、チーズ、汗、嘔吐物に含まれる。
主な化学物質
酪酸 (CH3CH2CH2COOH / ブタン酸)
効果・影響
- 強い嘔吐反射・嫌悪反応
- 皮膚・粘膜への刺激(高濃度)
- 腸内では酪酸産生菌が産生し、大腸上皮細胞のエネルギー源として健康に有益
対策
- 酵素系洗浄剤での清掃
- アルカリ性洗剤(重曹等)で中和
- 十分な換気
エビデンス
2022McGill University (Office for Science and Society)
酪酸は冷蔵庫では敵だが腸では味方。大腸内の酪酸産生菌が食物繊維を発酵して産生した酪酸は、大腸上皮細胞のエネルギー源となり、炎症を抑制し、自己免疫疾患のリスクを低減する。
2011Nutrition Reviews
酪酸の二面性をレビュー。腐敗臭の原因物質としての側面と、腸内での酪酸産生菌が大腸上皮細胞の主要エネルギー源を供給する健康上の重要性を両面から論じた。
トリビア
- 酪酸はバターの3〜4%をトリグリセリド形態で構成しており、バターが腐ると加水分解で遊離酪酸が放出されて強烈な臭いを発する。「butyric(酪酸の)」はラテン語のbutyrum(バター)が語源。
- 酪酸は腐敗臭の原因物質だが、腸内では酪酸産生菌が産生し、大腸上皮細胞の主要エネルギー源として健康維持に不可欠な短鎖脂肪酸でもある。
